第五回「双葉の会」を開催します

今年の一月から隔月で始まった「双葉の会」も、好評のうちに5回目を迎えようとしています。
前回は、津波で流され一カ所に集めておいた墓石を町が処分してしまったこと、このことを福島の地元紙によって初めて知ったということが、双葉町民から出てきました。
大地震が全国各地を襲っています。地震の心配をする前に、原発の心配を。「大丈夫だ、動かすべきだ」と本気で思えますか?

第五回双葉の会では、原発事故当時、双葉町の町長だった井戸川克隆さんが、昨年12月に双葉町を訪ねた時の映像を上映します。
その他、美味しい料理や音楽も。
被災地ではなく避難先で、討論し交流する場です。初めての方もぜひご参加ください。

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第4回「双葉の会」を開催します

今年の一月から始まった、埼玉県加須市での交流会も四回目になります。初めての方も大歓迎。原発避難者の今を知るために、ぜひご参加ください。
車で来られる方は駐車スペースはたくさんあります。公共交通機関の方は駅まで送迎します。いずれにしてもご一報くださいね。

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双葉の会で能登の現状を話す

輪島市 朝市通りの焼け跡

珠洲市にある避難所に、加須市で作ったホウレンソウを届ける

今年の元旦、テレビに映し出された能登の惨状を観てからずっと、鵜沼さんは被災地に行きたいと言っていた。
五月の大型連休にその願いが叶い、私も同行させてもらうことになった。
第三回双葉の会では、映像を交えて被災地の報告をした。今回から埼玉県加須市の鵜沼さんの自宅敷地内にある倉庫が会場になり、30余名の人たちが参加した。

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私「志賀原発の前に立ったとき、どう思いましたか?」
久江「周りは隆起していたので、津波が来たけど大したことなくて済んだ。そして原発は動いていなかったので、運よく事故はまぬかれたと思う」。
そして「実はね、原発の前で写真を撮ったりしていたら、後からパトカーが追いかけてきて、私はじめて職務質問されたんですよ」
「だから言ってやったの。私は福島の被災者です。だから能登の人たちのことが気になってしかたないんですってね」
鵜沼さんは笑って言う。彼女はいつもそうだ。

私「双葉の人たちも13年前の震災のショックは大変なものだったと思う。能登の現地をみて、フラッシュバックしたりしませんでしたか?」
久江「私は皆さんの前で話をするとき、辛そうに話すのはやめようと思った。そうすると事実が伝えられないから。今の双葉町の現実の姿を知ってほしい。避難した人がどんな思いで生活しているか。そのために私は自分の感情は全部捨てた」

双葉町民の菅本章二さん

その後、二分間ずつ、参加した人たちに自分のことを語ってもらった。
双葉町から避難している菅本さんは「ぼくも双葉に一時帰宅するたび職務質問を受ける。警官に『うち、そこだけど一緒に行く?』って言うんだ」。菅本さんの家は、津波で跡形もない。昨年再建された八幡神社が、我が家の場所の目印になっている。

埼玉県内から初めて参加した男性は、能登の被災地の映像の感想を語った。「四ヶ月たったのにこの状況であることに驚いた。ここまで政府が何もしないことが今まであったか。この惨状をみたらボランティアや個人の努力で処理できるものではない」と声を震わせた。

話すのは苦手、という人もいる。でも、双葉の会は、自分の言葉でしゃべることに意味があるんだと思う。誰に何を言われたって構わないじゃないか。鵜沼さんは13年間の避難生活の中でそのことを学んだ。
どこまで強く、凄い人なのかと思う。双葉にいるのは沈黙する民ばかりではない。
そして、そこにこそ「復興」をはね返すような歴史が作られていくのだろう。

私はそれを見届け、記録する者として、鵜沼さんよりも長生きしなければ。

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「双葉の会」を5月18日に開催します

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自然の恵みを食べながら~第二回双葉の会を開催

ずらりと並んだ春のプレート

桜はまだ咲かないものの、好天に恵まれた3月30日。加須市の鵜沼さん宅で、第二回「3・11を忘れない双葉の会」を開催しました。初回を上回る人たちが参加して下さり、料理班は嬉しい悲鳴。利根川土手で摘んだ菜の花やゼンマイ、ニンニクの葉などを大鍋で茹で、よもぎ餅と一緒に提供したプレート料理に、皆さん大喜び。自然の恵みを堪能していただけたのではないでしょうか。私もふっと、双葉町の皆さんが「食べ物を買ったことなんてなかった」「山や畑で材料はすべてそろった」と言っていたことを思い出しました。

皆が集まる場所を提供して下さる双葉町の鵜沼久江さん(右)と堀切

旧騎西高校での最初の1年を記録した『原発の町を追われて』に続き、ライターの吉田千亜さんが取材した福島イノベーションコーストの報告。これは想像をはるかに超えた、驚くべき内容でした。
双葉町は復興の名のもとに、住民帰還に先駆けて、次々と企業が立ち並んでいます。双葉町長は「来てくれるなら誰でもウェルカム」という姿勢で、誘致する会社はさまざまなのですが、最近ドローンの会社がオープンしました。これには驚いたという町民もいます。
町民の驚きを裏付けるような話が、次々と出てきました。吉田さんによると、復興の名のもとにすすめられている柱は軍需産業。双葉町から浪江、南相馬市に至る浜通りには、ロボットテストフィールドやドローンの開発など、軍事技術開発への研究者が集められていると。故郷から人々を一掃し、戦争のための研究開発地帯にしていく。そこに、夢を抱く若者たちが吸い寄せられていく。
日本全体が「戦争のできる国づくり」へと、大きく舵を切ったということなのではないか。
双葉町の人たちにとって、否、双葉の人でなくても、あまりにも衝撃的な話でした。

吉田千亜さん

小池美稀さん

そして若い映像作家、小池美稀さんが制作した『福島を聴く見る測る~WILPFの福島レポート2023』。テレビが取り上げることのない、避難指示解除区域の現実に、参加者からは「ぜひ上映会をやって広めたい」という声があがりました。小池さんは大学の卒業制作で、チェルノブイリに行き、そこで福島のことを省みたそうです。
福島の放射線量、被ばくの実態を語ることはタブーとされています。そこに何十万という人が暮らしているのだからと言って。そのことが現実から目を塞がせ、まともな討論が出来ない状態にさせれらてきました。
この日に観た映像を、ぜひ多くの人に知ってほしいと思います。→「福島を聴く、見る、測る -2023-」https://youtu.be/gY-0bwLBzBI?si=RbjVZXQJmb-zYjBMBM

埼玉に避難した双葉町自治会の会長をしていた藤田博司さん

13年たって薄らぐどころではない原発政策の怖さ。それは、原発事故の被害地、原発が立地する町にとどまることではありません。
この国の行く末をあらためて考える一日になりました。
双葉の会、次回は5月18日(土)に開催する予定です。

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