『続・原発の町を追われて』

「原発の町を追われて」をみた双葉町民はいう。
「今はこんなじゃない」と。だからちゃんと続きを撮れ。

観た人はこの映画の騎西高校の出来事がすべてだと思うかもしれない。でも、避難生活も二年目、三年目に入り、町をとりまく現状は変化し続けている。
町長が代わり、町役場が埼玉から福島県いわき市に移った。
双葉町は一律帰宅困難地域だったのに、4%は帰宅可能になった。とはいうものの、線量が低いと言うだけで津波で家はなくなっている。
また、除染はしないと前町長は言っていたのに、新町長になってからは「足並み揃えて」除染を始めることになった。
ある町民はいう。「福島残留の双葉町民と、全国に散った双葉町民の温度差は、福島県の姿勢と地元御用メディアの報道にある」と。「除染や復興に期待を持たせた扇動に、フクシマ組は踊らされている」と。

上映会のたびに、映画の舞台となった埼玉県・加須市以外の場所で避難生活をおくる、双葉町の人が観に来てくれる。昨日は都内に単独で避難しているKさんが来てくださり「騎西高校も大変だけど、単身での避難組はもっと地獄だった」と語った。福島から出たという点では同じでも、避難場所によって苦労は一様ではない。

Kさんは「続編は?どういう内容?この映画の後に起こっている問題を、私はすべてしゃべりたい」とおっしゃった。そして「騎西高校が閉鎖になっても、双葉町を追うのをやめないで。町民の誰かにくらいついて、ずっと記録を残し続けてほしい。今の私たちは地獄だけど、八十歳になった時には『懐かしいな』と思いながら観られるときが来るから」

そういうわけで、『続・原発の町を追われて』を編集中だ。本編のタイトルを筆字で書いて下さった双葉町避難民の書道家・渡部先生が「続編のタイトルも書いてあげる」と言って下さった。「なぜ『原発の町を追われて②』じゃないのか」と不服そうだった。「『続』で終わらせないで、ずっと撮り続けなさいよ」

七月二十七日(土)レイバー映画祭にて、25分バージョンで公開します。

 

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