風評加害と言う前に~飯舘村の食べ物について山川記者が報告

東京新聞の山川剛史さん

 9月20日に第八回双葉の会を開催しました。鵜沼久江さんのかねてからの念願が叶って、東京新聞の山川剛史さんをゲストに、福島の食べ物についてお話してもらいました。

 山川さんは福島第一原発原発報道のエキスパート。「14年間取材を続け、どっぷり福島にハマってしまった」といい、飯舘村で耕作放棄地を耕しながら、地元の人たちと放射能測定をしています。飯舘村は全村避難を余儀なくされた村で、今は子どもも含めて住民が戻ってきていますが、食べ物の出荷制限は続いています。自然の恵みを受けて生きる人たちの希望を、原発事故は奪いました。

 山川さんも、キノコや山菜は大好きです。「シドキって、食べたことないでしょ。スーパーでは売ってないけど、飯舘だとタダで手に入る」「コシアブラは山菜の王様です。でも放射能の吸収率も王様級」などと話を始めました。「飯舘村で採取した山菜は、測定機にかけるとすべてセシウムが検出されます。現在の食品基準はセシウム量に換算して1キログラムあたり100ベクレル。その基準をどうみるかも意見が分かれますが、、17000ベクレル以上のものもありました。蕨やゼンマイ、コゴミは高く、フキは比較的低い。土壌が16000ベクレルもある場所で育ったのに、シドキそのものは20ベクレル程度。同じ山菜でも品種によって放射能の移行率が違うこともわかりました」。

 逆に、イノハナというキノコは3万ベクレルの土壌で育ったのに、本体は11万㏃。「これではさすがに食べられない。でも地元の人たちに『食べるな』というのはコクだ」と山川さん。春になると山菜、秋になるとキノコ採り・・・地元の人たちがソワソワし始めるのを知っているからです。それで、放射能が抜ける方法はないかと、いろいろ試してみたそうです。その結果、天ぷらは美味しいけどセシウムはほとんど抜けない。でも、塩漬けにすると9割は抜けることがわかったそうです。ただし、塩漬けにした後、完全に水で流して塩抜きしなければならないため「何の香りもしないのが悲しい」と山川さん。

 参加者の関心は高く、次から次へと質問が続きました。「汚染水海洋放出の後、魚からセシウムは検出されていないのか?」という質問に対しては、年間22万件のデータをもとに「海水魚からはほとんど出ていない。海水には塩が含まれていることが影響しているのと、海は広くて、現段階では比較的トリチウム濃度の低いものを流しているので、まだ影響が出ていないのではないか」ということでした。ただし、淡水魚(湖や沼)からは一万㏃超えの検出結果もあったそうです。コメについては、町内に出荷されたコメはすべて検出されなかったとのこと。山川さん自身、20キロのコメを燃やして灰にして凝縮したものを測ったりするそうです。

 村民が地元のマツタケを食べた後、ホールボディカウンターで自分の身体を検査したら、セシウムはピークに。でも1か月後には体内から抜けていたということも報告されました。ただ、将来における影響はどうなのか?染色体を傷つけていないのか?などの質問も相次ぎました。そんな中、山川さんは「わからないものはわからない」と答えていたのが印象的でした。

山川さんがはじめて作ったカボチャ。未検出だということで、食べてみました。ホクホクしていて、とても美味しかったです。

 埼玉のスーパーでも、福島県産の野菜が売られています。ちなみに「宮城県産舞台ファーム」と記載されている野菜は、福島県で作られたもの。作っている土地は福島ですが、会社が宮城なので「宮城産」なのです。野菜たちから「俺は福島で育ったんだ。騙されるなよ。食べるも食べないも、アンタ次第だ」。そんな声が聞こえてくるようでした。

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