レイバー映画祭2013

七月二十七日(土)田町交通ホールで開催された「レイバー映画祭2013」に参加した。 昨年のこの映画祭で『原発の町を追われて』を初上映してから一年。あれから双葉町をめぐって さらに色々なことが起こり、今回『続・原発の町を追われて』を発表した。 映画の自主上映をしてくださった人、支援者、そして双葉町の人たちもたくさん観に来てくれて、 多くの人たちとの出会いがあったことをかみしめた一日だった。

「レイバー映画祭」は午前中の『襤褸の旗』から会場は人であふれ、ラストの『ショック・ドクトリン』まで大きな川の流れを観る様で、席を立つことができなかった。とくに『襤褸の旗』は、百年前に起きた足尾銅山鉱毒事件と谷中村の消滅が、そのまま今の福島に重なってしまい、何度も泣いた。
近代化のための銅山。国策のために、そこに住む住民は鉱毒の犠牲にあうこと。闘いを率いる田中正造に、素朴な村人は「国と国民をなぜ分けるのか」と聞くが、すでに谷中の村民は「国民」としてみなされていなかった・・。あらゆることが福島とダブり、さらに三里塚の農民や水俣の人たちが対立を強いられたこととも重なった。

昼休憩をはさんで『続・原発の町を追われて』。25分という与えられた時間の中で、事故後二年目の双葉町を描いた。田中正造がそうであったように、町民を被ばくから守るという信念をもった双葉町の前町長・井戸川さんも、すべての町民に歓迎されたわけではなかった。双葉郡の人たちから故郷を奪い、二年四か月たってもなお理不尽な避難生活を強いる加害者に対し、大同団結して立ち向かっていくというのは難しい。歴史はなぜ、かくも同じことを繰り返すのだろう。
双葉町は本当に様々な問題を抱えている。事故から一年たち、二年が過ぎ、ばらばらに避難生活をおくる町民の中に、いろいろな分岐が生じるのは当然だ。原発事故は被ばくによる健康被害だけでなく、人々の心にも深い傷を残す。
渦中にある双葉町の人たちにとっては、現在進行形のこの映画を観ることは、とても複雑な思いがしただろうなと想像する。「今」を記録するというのは、痛みを伴う。

『襤褸の旗』で、三国連太郎扮する田中正造が「強制執行で滅びるのは、谷中村ではなく日本だ」というシーンが心に残る。井戸川前町長は退任式で「この事故は福島県、双葉地方だけの事故ではない。人類史上、地球規模の事故だ」と語った。
原発立地の町だけが当事者なのではない。双葉町を追う私自身、そのことを忘れずに記録し続けようと思っている。

(なお、『襤褸の旗』は八月中、池袋の文芸坐で上映されるそうです。ぜひ多くの人に観てほしいと思います)
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『襤褸の旗』上映後、映画の解説をする乱鬼龍さん

上映会のあと、恒例の青空交流会でカンパイ!

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