今年のやよりジャーナリスト賞は、該当者なしだったのだが、
『原発の町を追われて』が特別枠で「期待賞」を受賞した。
松井やよりさんとは、二十年以上前に
中米ニカラグアのスタディーツアーでご一緒した。
その後『女たちのアジア』(岩波新書)を読んだ。
雲の上のジャーナリストである。
ジャーナリストってなんだろう。
辞書的には「日記を記す人」とある。
日記は小さい頃から書いてきたし、
他人の日記を読むのも好きだった。
でも、自分がジャーナリストになりたいと思ったことはないし、
社会人になって働くようになってからも
職場以外のところで「何者かになりたい」と思い続けてはきたものの、
そこに「ジャーナリスト」はなかった。
日の当たらないところで生きてる人はいる。
双葉町を追うきっかけは
「俺たちは忘れられていく」というおっちゃんの一言だった。
この人たちを日の当たるところに出したいという思いはあった。
でも、所詮はマイノリティーだ。
マイノリティーがマジョリティーになることなんて
決してないと私は思う。
でも、そういう人たちは大切なものを教えてくれる。
決して多数派にはならなくても
一緒にいきていきたいと思わせるものがある。
他の人たちが、なんだかよくわからなくても
排撃せずにそっと見守っている。
そういう社会であったほしいと思う。
自分と異なる他者に思いをはせるのは、
ただそれだけで、豊かになれる気がする。
そんな自分が「ジャーナリスト」にかかわる賞をいただいてしまって、
幸せなような、・・・ちょっと怖いような気持ちがしている。