双葉駅前からの中継

 島根県に避難している双葉町民、Kさんから手紙が来ました。遠い町から故郷を案じ、同郷の人のことが地元紙に載ると、記事を送ってくれたりします。以下、Kさんの手紙を一部紹介します。
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 「双葉町から埼玉に避難している皆さんはお元気でしょうか。
 震災から11年。メディアなどから現在の双葉町の復興の様子をうかがい知ることができました。着々と復興支援住宅が何棟も建設されていて、駅のそばには役場新庁舎が着工されていました。
 復興することは大変ありがたいのですが、そのことについて今の私の心には、疑問符がつきます。
 昔から双葉町に住み着いている人間は、古びたへなびた、何もない、人通りもない、本当の田舎の双葉町を愛しており、急に鉄筋コンクリートの建物があちこちに出来ても戸惑うばかりで、かえって住みづらくなるだけです。復興住宅より、元居た場所に住居を修理して、近隣の付き合いを今まで通りに、今までの双葉町に住みたいです。
 伊澤町長が頑張っているのがわかるので、尚更自分としては葛藤が大きいです」
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 11年目の3・11報道の中に、復興のあり方を問う番組がありました。ТBS『報道特集』では、ウクライナの現地取材のあと、二年前に新しくなった双葉駅前から中継しました。伊澤史郎町長が、駅の西側に災害復興住宅を造成していること、双葉町以外の人でも住みたくなるような街づくりを目指したいと話した後、日下部キャスターがこう語りました。
「チェルノブイリで大事故が起きたウクライナでは、原発が標的にされています。本当に愚かしいことです。11年前、この地で、核が暴走を始めたとき、私たちは驚くほど無力でした。我々の英知のすべてを集中しても、暴走をコントロールすることはできませんでした。この現実は今もまったく変わっていません」

 双葉町民であろうとなかろうと、誰でも双葉町に住めますよという双葉町の町長。住むよりも前に、やるべきことがあるのではないでしょうか。

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