毎年3・11報道を注目してみていますが、原発事故に関する番組はどんどん少なくなっている気がします。帰れなかった町に人が戻り、復興に向かっている様子はさかんに報道されますが、まだまだ避難を続けなくてはならないという人たちがいることは、どれだけ伝えられているでしょうか。
3月12日、レイバーネットTVでは福島特集『原発避難者の苦しみとフクシマの現実』を放送しました。区域外避難者の鴨下さん一家と、福島県三春町在住のカメラマン・飛田晋秀さんが出演してくれました。→https://www.youtube.com/live/XtSqIUHrtnU

3・11が近づくと、精神的に不安定になり病気になったりする人は多いです。鴨下美和さんも、そんな状況を乗り越えて番組に出てくれました。原告団長で夫の祐也さんも、がんを抱える身で、赤裸々に語ってくれました。
何といっても圧巻だったのは小2で避難した息子の全生(まつき)さん。最初はやさしく迎えてくれた東京の同級生から半月後にいじめを受けるようになったのは「原発避難者に100万円」という報道のせいでした。死ぬことも考えた思春期をくぐりぬけ、大人になった彼は今でも、「この傷は一生消えることはない」と語ります。

そんな彼を支えたのは、家族の結束力だったと思えてなりません。そして、福島の現実から目を背けないこと。福島県内を線量計で計り写真に収める飛田さんは、高線量の中、防御服を着ることもなく働いている警察や警備員たちを慮っていました。
「福島を忘れるな」「福島の苦しみを分かち合う」というのは、福島からの電気を使っていたことを詫び、汚染土を分かち合ったり、原発周辺でとれた農産物を食べたりすることではありません。被ばくを少しでも避けるため、愛する我が家やいわきの自然を手放した鴨下さん一家の訴えを聞いてほしい。そして、原発を受け入れるというのは何を背負わされる社会なのか、考えてほしいと思います。
いつもより少し放送時間は長いですが、ぜひご覧ください。