お彼岸の中日。亀戸中央公園で脱原発反対集会には1万6千人が集まり、
東京・清瀬のブティックで『原発の町を追われて』の上映会がありました。
西武池袋線「清瀬駅」の南口は、高齢者と病院が多くて、
ふれあい通りっていう商店街もシャッター化してて・・・
そんな中、13年前に『レイン×(バイ)レイン』という洋服やを開いた相沢さんが
「ふだんドキュメンタリーを観ない人や、原発に関心ない人にも、この映画観てもらおうよ」
と言ってくれたのです。場所は相沢さんのお店で。
思えば3・11直後から、埼玉に避難してきた双葉町の人たちにカメラを向けてきたのですが、
最初は映画になるとは思っていませんでした。でも「語っている人たちの言葉に力がある」と言ってくれる人がいて
「よし。何としてでも映画にして伝えよう」と思ったのです。
でも映画は観てもらわなければ意味がない。作ること以上にいかに観てもらうかが大変なのだ。私は映像を職業にしているわけではないので、身内で細々と上映会ができればいいかなと思っていたのですが、多くの人がバックアップしてくださいました。
最初の上映は2012年7月「レイバー映画祭」。それを観た人が、地元でもやりたいと言ってくれて、毎月どこかしらで自主上映を続けることができました。
あれから二年。
映画祭や映画館での上映も実現しましたが、自主上映の醍醐味は観た人どおしの顔がみえること。観たものどおしで討論できることだと思います。
一人で映画館に行ったとき、帰りのエレベーターの中で感想を話し合ってるカップルの意見に耳を傾けたりすることありませんか? それが自主上映だとできるんですよね。公民館、小学校の校舎や体育館、お寺、カフェ、仮設住宅・・そして今回は洋服店で。スクリーン(白い紙でもよい)とプロジェクタがあって、そして何人かの人が集まれば、
そこは素敵な無敵な空間になる。
騎西高校で炊き出しをしていた、料理研究家の枝元なほみさんも来てくれて、認知症の父親の介護をされているご自身の体験を交えて「ふるさと」ってものについて語ってくれました。
「亀戸中央公園で声をあげてきた」という団塊世代もいれば「原発で避難した人は、もう落ち着いてるかと思ってたのに」という人も。よくぞここまでいろんな人が集まったなあと感心しますが、一緒に盛り上がり、それはそれは楽しい時間をすごしました。
『原発』というだけでNGになることは、今後当然ありうることでしょう。でも、この小さな洋服店には「生まれも育ちも清瀬」という地元商店街の人や、隣りの町の人、福島から駆けつけた人、Facebookで知り合った人・・・それから、たまたま通りかかったっていう人。本当にいろんな人が来てくれたのです。
キューバでは農業生産を上げるために農民だけでなく市民も野菜をつくったといいます。土地がなければベランダで、空き缶に土を入れて。そういうのをたしか「オルガノポニコ」っていったと思う・・・。
劇場がダメなら公民館で。公民館がダメなら自宅で。自宅じゃ狭いなら商店街で。壁がなければ野外に布きれ張って。
ダメって言われたらまた別の場所で。隙間をぬって奇想天外な場所で自由を確保しよう。
これまで自主上映してくださった皆さんに、心から「ありがとうございました」と言いたいです。