「原発の町を追われて — 避難民・双葉町の記録 —」
福島第一原発のお膝元にあり、2011・3・11直後、全世帯が避難勧告を受けた双葉町。事故から二週間後、町は役場機能を埼玉県加須市に移し、廃校になった高校(旧騎西高校)を拠点に避難生活を始めた。日本初の原発避難民。放射能から逃げるしかなかった人々。「俺たちはどうせ忘れられていくのさ」という避難民のつぶやき・・・。
4月。騎西高校には双葉町民のおよそ二割にあたる1400人が避難生活を始めていた。
東京では脱原発のデモが起こっていたが、原発と共に暮らした町民の心境は複雑だ。原発を信じてきたこと。何もかも失ったこと・・・。いつ帰れるかアテもない中で、避難民たちはそれぞれの思いを語りはじめた。
毎日のように、ボランティアや有名人によるイベントが行われたが、避難してきた人たちは何もすることがない。そんな中、双葉町民は遠い埼玉の地でふるさとの盆踊りを再現させるが、不自由で先の見えない避難生活は変わらない。
親子代々、東京電力で働いてきた田中さん一家は、爆発当時原発の中にいた息子のことを誇りに思っている。「今までずっと放射能を浴びてきたんだ」と言って、福島に戻っていった。その一方、望郷の念を捨て、騎西高校で書道教室を開く書道家もいた。去る人、残る人・・・町民はそれぞれの一歩を踏み出したかにみえる。
11月。ついに騎西高校で、町民自身が思いのたけをぶつけ合う集会を開いた。賠償も進まず帰還のメドもたたず、ほったらかしにされた人々は「このままでは、国と東電に殺される」とさけぶ。
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2012年作品/56分/日本
撮影 西中誠一郎/井口みどり/堀切さとみ
編集&ナレーション 堀切さとみ
制作協力 松原 明
音楽 自由の森学園高等学校 第24期生
筆字タイトル 渡部翠峰
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制作者プロフィール
堀切さとみ・・・・・さいたま市在住
2008年より市民メディアセンター・mediRで映像を学ぶ。初めて作った作品は、上関原発建設に反対する祝島の人たちを撮った「神の舞う島」(20分/2009年)